「余命10年」を小説で読み、その後映画で見た。
余命10年だからと、何もする気にならず鬱々と過ごしていた茉莉が沙苗に再会してオタクに目覚める。大好きだった漫画を描いたり、衣装を作ったりして残された時間を精一杯生きる描写がとてもリアルで笑ったり泣いたりしながら読みました。
同窓会で出会った彼は優しくてかっこよくて、良家の坊ちゃん。失いかけた目的を茉莉の励ましで取り戻していく。そして茉莉をとっても大切にしてくれる人。何しろ彼にとって茉莉は初恋の相手だったから。
映画の中での茉莉は小説家志望で小説の中とは違いゆっくり、静かに時が流れていく。初めはちょっと物足りないものを感じましたが見終わってから、映画の中の茉莉ちゃんが本物に近いのかな、と思った。
小松菜奈さんの演技もとても良かったし、坂口健太郎さんがやっぱり、かっこよかったです。茉莉と名付けたお店を開店するところも切なかったです。
筆者が主人公なので心と体の描写がリアル。体調が悪いとき、入院して余生を過ごす日々など涙なしで読むことはできません。
風景の描写もきれいで、音、色、風などが目の奥に浮かんで来るようです。
若い子の考え方やユーモアあふれる会話、オタクが彼にばれたとき、オタクに興味のない彼が興味を示し、茉莉と共有しようとコスプレしたりして、小説を読んでいるとその世界に引き込まれてしまいます。
あの場面を映画でも見てみたかったのでその点は少し残念でした。
話の中に出てくる「肺動脈性肺高血圧症」私も医療従事者なのでなんとなくわかる。
悪性疾患ではないがだんだん全身が弱っていく不治の病である。
余命10年、ぐらいなのかな。良くはならない、少しずつ進行していく病ではある。
私がまだ若い頃自分と同じぐらいの年の女の子がこれと似た病気で入院していた(その人はアイゼンメンジャー症候群という病態だった)私はその部屋の担当ではなかったのでほとんど部屋に入ったことはないが、いつも優しそうなお母さんが付き添っていたことを思い出した。程なくしてその人は亡くなった。
子供が自分より先に逝ってしまうっていうのはどんな辛さ、苦しさなんだろう。考えただけでも怖くなる。そしてそれが自分自身だったら、と思うとそれもやりきれない。
人は誰でも死ぬ、それが突然か、少し先にやってくるのかなんて誰にも分からない。
闘病中の方によく「そろそろ迎えに来ないかな」とか「もう死んでもええ」とか言われますけどそれは誰にも分からない、もしかすると交通事故で私が明日死ぬかもしれないし、といつも思います。
なのでやりたいと思ったことを少しずつでもやっていこうと思う今日この頃です。